ラーンが巨大な石の扉に足をかけようとした時、イシェが制止した。「待て、ラーン。あの文様、見たことあるぞ」。イシェは扉に刻まれた複雑な模様を指差した。それは彼らが過去に探索した遺跡で見かけたものと同じだった。
「ああ、そうか。あの遺跡で見たやつだな」ラーンは少し考え込んだ後、「でも、あの時は何も無かっただろ?罠とか?」
「確かに。だが、あの遺跡の奥には造物主の遺言が残されていたって噂があったな。もしこの扉がその繋がりなら…」イシェの目は真剣になった。「慎重に進もう」。
テルヘルは冷静に状況を分析した。「この扉が開けば、何が待っているかはわからない。しかし、ヴォルダンとの戦いに繋がる可能性もある。リスクは高いが、見逃すわけにはいかない」。彼女は剣を握りしめ、ラーンとイシェに頷いた。「準備はいいか?」
3人は深呼吸をして、石の扉の前に立ち止まった。ラーンの手は震えていたが、彼は決意を固めたようにゆっくりと扉を開け始めた。扉の内側は闇に包まれていて、何も見えなかった。しかし、かすかに聞こえる風の音が、彼らの心に不気味な予感を与えた。
「行くぞ」ラーンは小声で呟き、一歩踏み出した。イシェとテルヘルも後に続いた。彼らは未知の領域へと足を踏み入れ、造物主の遺言が秘めた真実を探し求める旅が始まった。