「おい、ラーン！あの石柱、見てないのか！」イシェが鋭い声を張り上げた。ラーンは背の高い石柱に寄りかかり、無造作に剣を研いでいた。
「ああ、知ってるよ知ってる。どうせまた、何かの警告文みたいなのだろう？大層なことを書いてても、結局は『ここに入ったら死ぬぞ』って話でしょ？」ラーンの返答は軽く、イシェの眉間に皺が寄った。「いつもそんな調子で遺跡を舐めてるから、大穴にはめったくた encounter しないんだよ」とイシェは言い放つ。
「そうかな？俺はまだ、この世界の奥深さを知らないってことに気づいてないだけかもな」ラーンはニヤリと笑う。その瞬間、石柱の上部から、塵埃を巻き上げて何かが落下してきた。ラーンの視界に入るその瞬間、イシェは咄嗟にラーンの前に飛び出し、彼を押し倒した。
「イシェ！」ラーンの叫びが響き渡った。石柱の上部は崩れ落ち、大きな岩が地面に激突した。粉塵が舞い上がり、しばらくの間、視界は真っ白になった。
coughing しながら立ち上がったイシェは、ラーンを必死に呼びかけた。「ラーン！大丈夫か？」 ラーンの姿が見えた瞬間、イシェは息を呑んだ。彼の顔は血で覆われ、意識を失っていた。
「クソッ！」イシェは慌ててラーンの顔を拭き、傷口を抑えた。その時、背後から冷たい声が聞こえてきた。「なかなか面白い展開ですね」
イシェは振り返ると、テルヘルが立っていた。彼女の表情はいつもの冷酷なものであり、手には血にまみれた短剣が握られていた。
「あなた…」イシェの言葉は詰まったままだった。テルヘルはゆっくりとラーンの顔を見下ろし、唇を歪めた。「この男は、もう使い物にならないでしょう」
イシェは怒りに震えながら立ち上がった。「何を…何をしようというんだ？」
テルヘルはニヤリと笑った。「私が何をするかは、あなたが選んだ道次第です」彼女は剣をラーンの喉元に突き立てた。「彼を助けたいなら、私の言うことを聞きなさい」