ラーンの大 hammer が石壁を叩き割り、埃が舞った。薄暗い遺跡内部に、わずかな光が差し込む。イシェは鼻をつまんで咳払いをした。「また無駄な努力だな。この奥には何もないだろう」
ラーンは肩をすくめた。「いや、何かあるはずだ!だって、ここには輝きを感じたんだ!」
イシェは眉間に皺を寄せた。ラーンの「輝き」に導かれて遺跡探索をするのはもう何回目だろうか。いつもはただの石ころや錆び付いた武器ばかりが出てくる。だが、ラーンの目は真剣で、まるで本当に何かを見つけたかのような表情をしている。イシェには理解できない。
その時、テルヘルが後ろから声をかけた。「ここだ」
彼女の指先が、壁のひび割れを指している。そこには確かに、かすかな光が漏れているように見えた。イシェは息を呑んだ。
「よし、開けてみよう!」
ラーンは興奮気味に言った。テルヘルが小さな宝石を壁の溝に差し込み、ひび割れから光が溢れ出した。それはまるで、長い眠りから覚めたばかりの宝石のようだった。
「これは…」イシェは目を丸くした。「古代ヴォルダン文明の遺物…!」
テルヘルは微笑んだ。「素晴らしい。これで、私の計画は一歩前進だ」
ラーンの目は輝いていた。彼はまだ何も分かっていなかった。この遺跡から見出されたものは、単なる宝石ではない。それは、ヴォルダンとの戦いを決する鍵となる、強力な力を持つ遺物だったのだ。そして、その輝きは、やがて世界を巻き込む嵐の予兆となるだろう。