ラーンがいつものように大口を開けて笑っている。イシェは眉間にしわを寄せていた。「また遺跡探検か? ラーン、もういい加減諦めろよ。大穴なんて存在しないって。」
「いやいや、イシェ! 大穴は必ずある! 俺にはそう感じるんだ!」ラーンの目は輝いていた。
テルヘルは冷めた目で二人を見下ろしていた。「二人が探す遺跡について、少し情報提供する。今回はかつて『転移の門』があった場所だ。」
イシェは驚いて声を上げた。「転移の門? そんなもの本当にあるのか?」
「噂では、あの門をくぐれば別の世界へ転移できると言われている。もちろん真偽は分からないが…」テルヘルは意味深に笑った。
ラーンの目はさらに輝きを増した。「よし! これは大穴が見つかるチャンスだ! イシェ、準備はいいか?」
イシェはため息をついた。「わかった、わかった。行くよ。」
遺跡の入り口は、崩れかけた石造りの門で塞がれていた。ラーンが力強く門を押し開けると、薄暗い内部へと続く階段が現れた。
「さあ、行こう!」ラーンの声が響き渡った。
階段を下るにつれて、空気が重くなり、湿り気を感じ始めた。イシェは背筋が寒くなるような予感を覚えた。
ついに階段の最下段にたどり着くと、そこには広大な石室が広がっていた。中央には、古代文字で刻まれた巨大な門がそびえ立っていた。それが噂の『転移の門』だ。
ラーンは興奮気味に門に手を伸ばした。「ついに来たぞ! 大穴への入り口だ!」
イシェは不安を覚えたが、ラーンの熱意に押されて、彼と一緒に門に触れた。その時、突然、激しい光が爆発し、周囲の景色が歪み始めた。三人は目をぎらつかせながら、意識を失った。