ラーンがいつものように大口を開けて笑い、「今日は必ず何か見つかるぞ！」と豪語すると、イシェはため息をついた。「またそんなこと言ってる。あの宝の山の話はいつまで続くんだ。」イシェの言葉にラーンは少しだけ顔を曇らせながらも、「いや、今回は違う！俺に感じるぞ、何かが起きるって」と力強く言い放った。
テルヘルは二つの鋭い瞳で彼らをじっと見つめ、「いい加減にしてください。時間とお金を無駄にしているだけです」と冷たく切り捨てた。「今日は私が指示する通りに動いてください。遺跡の奥深くにある、特定の遺物を探します」
ラーンの顔色を伺うようにイシェが尋ねた。「何か情報でも手に入れたのですか？」テルヘルはわずかに唇を動かした。「私の知人から聞いた話です。ヴォルダンが以前この遺跡を調査していたという噂があるんです。」
イシェは少し驚いた様子を見せたが、ラーンはいつものように無邪気に「ヴォルダンか！敵のものを手に入れるなんて最高だな！」と興奮気味に言った。テルヘルは彼ら二人を睨みつけ、「軟弱な考えを捨ててください。この遺跡には危険が潜んでいます。慎重に進みましょう。」と警告した。
遺跡へと続く洞窟の入り口に差し掛かった時、ラーンの足取りが遅くなった。「何かあったのか？」イシェが尋ねると、ラーンは顔を引きつらげた。「なんか...変だ。この場所...」
その時、洞窟の中から不気味な音が響き渡り、地面が激しく揺れた。ラーンの体は恐怖で震え始めた。イシェは冷静に状況を判断しようと努めたが、テルヘルはすでに剣を抜いて警戒していた。
「何かが近づいている！」テルヘルの声は冷酷だった。「逃げろ！」
しかし、逃げる前に、巨大な影が洞窟の入り口に姿を現した。