「おい、イシェ!あの石柱、怪しいぞ!」ラーンが大きな声で叫んだ。イシェは、ラーンの背後から慎重に足場を確認しながら続いた。「落ち着いて、ラーン。急いで進むと落とし穴にでも落ちかねないよ」。薄暗い遺跡の奥深く、二人の足元は不安定な石畳で覆われていた。彼らはテルヘルに従い、この遺跡の奥へと進んで来た。
「見つけたぞ!何かが光ってる!」ラーンの興奮した声が響き渡った。イシェが彼を追い越して石柱の影に隠れると、そこには小さな箱が置かれていた。黄金で縁取られた蓋はわずかに開け放たれ、中から青い光が漏れていた。「これは…!」テルヘルが駆け寄ると、箱の中身を見た瞬間息をのんだ。「これは貴重な遺物だ…」
「よし!これで大穴が見つかるかも!」ラーンの目は輝き、イシェも思わず小さく頷いた。しかし、その時、背後から不気味な音が聞こえた。石畳を這うように進む重たい足音だった。「誰かいるぞ!」ラーンが剣を抜くと、テルヘルも daggers を手に取った。影の中から姿を現したのは、黒装束の男たちだった。彼らは全員が武器を携え、鋭い目を向けていた。「何者だ!?」ラーンの怒号に、男の一人が冷淡に答えた。「ここはヴォルダン軍の調査区域だ。立ち去れ」
イシェは緊張した様子でラーンにささやいた。「ヴォルダン軍…?まさか…」テルヘルは静かに剣を構えながら言った。「我々は遺跡探索者だ。特にこの場所には関心が無い。すぐに立ち去る」男たちはにやりと笑った。「遺跡探索者?そんな嘘をつくな。お前たちの目的は、我々が探す遺物だろう」
男の一人が手を上げると、背後からさらに多くの兵士が現れた。彼らは全員が重装備で、その姿はまるで軍隊のようだった。イシェはラーンに顔をしかめ、「これはまずい…」。ラーンの表情も硬くなった。「よし、戦おう!」そう言うと、ラーンは剣を振りかぶった。テルヘルは冷静に状況を見極めていた。ヴォルダン軍の目的は遺物だとすれば、戦いを避けられる方法はないのか?彼女は頭の中で作戦を練り始めた。
「待て!」テルヘルが大きく声を出した。「我々は遺跡調査者だ。遺物を盗むつもりはない。なぜなら…」彼女はわざとらしくため息をつき、「我々が探すものは、ヴォルダン軍にとってより価値のあるものなのだ」