ラーンの重い足取りが埃を巻き上げた。日差しが容赦なく照りつける遺跡の入り口で、彼はため息をついた。イシェは背後から小さくため息をつきながらも、いつも通り冷静に地図を広げた。
「本当にここなのか？あの噂話、本当なら大穴じゃないか？」ラーンの目は輝いていた。「だって、ヴォルダンが何年も前にここに何かを探しに来たって聞いたんだろ？」
イシェは眉間に皺を寄せた。「噂話に惑わされるな。ヴォルダンが探していたのは遺跡の奥深くに眠る何かだったはずだ。我々が探すべきは、その軌跡だ。」
「そうだな」テルヘルが鋭い目で地図を睨んだ。「ヴォルダンは何も残さなかった。しかし、彼が残した軌跡こそが我々の財宝となるのだ」
彼らは遺跡内部へ足を踏み入れた。崩れかけた石造りの通路、朽ち果てた壁画、埃まみれの床。そこはかつて栄華を誇った文明の影が、静かに息づいているかのようだった。
ラーンは興奮気味に壁画を指さした。「ほら、イシェ！あのシンボル見たことあるぞ！あの伝説の…」
「ラーン！」イシェは彼を制止した。「落ち着いて観察しろ。シンボルの配置、壁画の内容…何かがおかしい」
テルヘルは静かに周囲を吟味していた。彼女の鋭い視線は、壁画の細部に留まる。そして、彼女は小さく頷いた。「ここに答えがある」と呟いた。
彼らは遺跡の奥深くに進むにつれて、ヴォルダンの残した軌跡に近づいていくのを感じた。それは単なる財宝や遺物ではなかった。彼の野望、彼の憎しみ、そして彼の敗北。その全てが、遺跡の中に刻まれていた。
ラーンは剣を握りしめ、イシェは慎重に道を進んだ。テルヘルは冷徹な目で、彼らの前に広がる過去を見つめていた。彼らはそれぞれの目的を持って遺跡に足を踏み入れたが、そこに待ち受けるものは、彼らを想像を絶する運命へと導くものだった。