ラーンの大笑い声がビレーの街角にこだました。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼の手を掴んで引っ張った。「また遺跡で何か見つけたのか？」彼女の冷ややかな視線に、ラーンは少しだけ顔を赤らめた。「いや、あのな…」。彼は言葉に詰まりながらも、興奮した様子は隠せない。イシェはため息をつきながらも、彼に付き合わなければならなかった。
テルヘルはいつも通り、冷静に状況を分析していた。彼女の鋭い視線は、ラーンの持ち帰ってきた石の欠片に注がれていた。「これは…」彼女は呟き、指先で欠片の表面を撫でた。その瞬間、石から微かな光が放たれ、空中に奇妙な模様を描いた。
「これは…！」イシェは目を丸くした。「遺跡の地図じゃないか」。ラーンの興奮も、テルヘルの冷静さも、イシェの動揺も、全てが一瞬にして躍動するエネルギーに飲み込まれた。ビレーの街角に響いていたのは、単なる大笑いではなく、運命を大きく変える予兆だった。