足音

歩く時に足が地面に触れて立てる音。

物語への影響例

存在の聴覚的痕跡。接近と退行の合図。空間における人間の移動の聴覚的記録。不可視の存在の徴候。

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湿った土の匂いと石塵が鼻腔をくすぐる。ラーンが先頭を切って薄暗い通路を進み、イシェは彼の後ろを少し離れた位置で慎重に歩いた。

「本当にここであってるのか?」イシェが小さな声で尋ねた。「地図だと、遺跡の中心部には大広間があるはずだが…」

ラーンの背中は揺らぐことなく、足音だけが響く通路の先へと進んだ。「大丈夫だ、見つけたぞ!」

彼の言葉と共に視界が開けた。広間の入り口に差し掛かったのだ。しかし、広間は期待したような壮麗な空間ではなく、崩れかけた壁と埃まみれの床が広がる荒廃した姿だった。

「なんだこれは…」イシェが呟くと、ラーンは苦笑いを浮かべた。「遺跡の地図なんて、たいていウソっぱちだ。」

その時、足音が聞こえた。重く、ゆっくりとした音。広間の奥から近づいてくるようだった。

ラーンの表情が硬くなる。「誰だ?」と声を張り上げた。

しかし返ってきたのは、かすかな金属音だけだった。

イシェはラーンに視線を向け、「何かいる…?」と不安げに尋ねた。ラーンの目には、警戒の色が宿っていた。

足音が大きくなり、広間の奥からゆっくりと姿を現した。それは、巨大な鎧を纏った男だった。顔は覆われており、手には錆びた剣を握っている。

男はゆっくりと歩みを進め、その足音だけが広間を満たす。ラーンとイシェは互いに視線を交わし、緊張した空気を共有した。