ビレーの朝焼けに染まる街並みを背に、ラーンとイシェはテルヘルの後ろをついて遺跡へと向かっていた。日差しがまだ弱く、空気にはひんやりとした朝露が残っている。
「今日はどこにするんだ？」
ラーンの問いかけに、テルヘルは地図を広げながら答えた。「以前調査した場所から少し離れた場所だ。古い記録によると、そこには巨大な地下空間があるらしい。」
イシェが眉をひそめた。「巨大な地下空間…？ そんな場所は危険すぎるんじゃないのか？」
テルヘルは不敵に笑った。「危険だから面白いじゃないか。それに、あの空間には貴重な遺物があると噂されている。我々がそれを手に入れることができれば、ヴォルダンへの復讐も一歩前進だ。」
ラーンの顔は興奮で輝いていた。イシェはいつものようにため息をついた。三人は遺跡へと続く山道を進んだ。道中、ラーンは足跡に気を取られていた。地面には、何者かが踏みしめた小さな足跡が残されていた。
「おい、イシェ。見てみろよ。」
ラーンの指さす方向を見て、イシェは小さくうなずいた。「確かに…人間の足跡ではないな。」
足跡は獣のものではなく、何か別のものだった。細長く、鋭い爪の跡がついている。テルヘルもその足跡に気づき、少し不気味な顔つきになった。
「これは…何者かの足跡だ。しかも、最近のものらしい。」
三人は互いに顔を見合わせた。遺跡に入る前に、彼らは予期せぬ遭遇に直面するかもしれない。