「準備はいいか？」
ラーンの豪快な声とイシェの小さく頷く姿が、薄暗いビレーの酒場で対照的だった。テーブルの上にはテルヘルが用意した粗末な地図が広げられ、その中心には赤で囲まれた一 blob が描かれていた。
「あの遺跡はヴォルダン軍に封鎖されたままらしい」とテルヘルは低い声で言った。「だが、裏口があるという噂だ。そこに忍び込んで遺物を見つけ出すのが今回の仕事だ」
ラーンの目は輝き、イシェは眉間にしわを寄せた。
「危険すぎるだろう」イシェが躊躇するように言った。「ヴォルダン軍の警戒は厳しいはずだ。見つかったらどうなるか…」
「心配するな」ラーンは笑い飛ばした。「俺たちにはテルヘルがいるじゃないか！あの足取りで、どんな敵も吹き飛ばせるだろう？」
イシェは視線をテルヘルに向けた。彼女の鋭い目は地図に固定され、表情は読み取れない。
「準備は万端だ」とテルヘルが言った。「だが、一つだけ約束しろ。俺の指示に従うことだ。足並みを揃えれば、どんな困難も乗り越えられる」
ラーンはニヤリと笑った。「任せておけ！」
イシェは深くため息をついたが、最終的に頷いた。３人は立ち上がり、夜の闇へと消えていった。ビレーの街灯が遠ざかり、彼らの足音だけが静かに響いていた。