ラーンが「おい、イシェ、今日は俺が先頭だ！」と、いつものように豪快に宣言した。イシェはため息をつきながら、「またあの赤橙の光が見えたのかい？ いつもそう言うけど結局何も見つからないじゃないか。」と冷静に返した。
ビレーから少し離れた遺跡の入り口付近で、彼らはテルヘルと合流していた。テルヘルはいつも通り黒い装束を身にまとい、鋭い眼光で周囲を警戒している。「今日の目標はあの奥深くにある部屋だ。古い記録によると、そこには赤橙に輝く水晶球があるらしい。その力を利用できれば、ヴォルダンへの復讐も一歩前進するだろう。」
ラーンの顔色が明るくなる。「よし！じゃあ俺が真っ先に進んでやる！」と、彼は剣を構え、遺跡の奥へと駆け込んでいった。イシェはテルヘルの冷たい視線を感じながら、「いつも通りだな」と呟き、ラーンの後を追いかけた。
遺跡の中は薄暗い空気に包まれ、湿った土の匂いが漂っていた。ラーンの足音だけが響き渡る中、壁には赤橙色の模様が描かれており、どこか不気味な雰囲気を醸し出していた。
「待て！」イシェの声が響いたが、ラーンはすでにその部屋へと入っていった。「ラーン！危険だ！」イシェが叫んだ瞬間、部屋の奥から赤い光が爆発した。
「うっ…」イシェが駆け込んだ時には、ラーンは地面に倒れており、全身から赤橙色の光が漏れていた。テルヘルは冷静に近づき、「これは…。」と呟いた。水晶球は砕け散り、その破片は赤橙色の光を放ちながら部屋中に散らばっていた。
ラーンの意識が戻ると、目の前にはイシェとテルヘルの顔があった。「どうしたんだ？俺…」彼は痛みをこらえながら尋ねた。テルヘルは「水晶球の力を過剰に受け入れたようだ。今は安静にしていろ」と冷静に言った。
イシェはラーンの手を握りしめ、「大丈夫、大丈夫。今回は運が悪かっただけだ」と慰めた。しかし、彼女の表情は不安でいっぱいだった。赤橙色の光が放つ謎の力、そしてラーンの身に降りかかった異変。彼らの冒険は新たな展開を迎えていた。