赤子

生まれたばかりの子供。

物語への影響例

絶対的な脆弱性と無力さ。無条件の愛を引き出す存在。社会の最も根源的な責任の対象。

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ラーンの大雑把な指示に従い、イシェは慎重に石畳を踏んで進んだ。埃っぽい空気を掻き立てるような暑さと湿り気は、遺跡内部特有のものだった。テルヘルが調査した古い地図によると、この奥深くにはヴォルダン帝国の支配以前から存在する巨大な遺物があるらしい。

「本当にここにあるのかよ? この遺跡、もう何年も探してんだけど、何も見つからなかったぞ」

ラーンは不機嫌そうに言った。汗で額から髪が濡れている。イシェは小さく頷き、地図を指さした。「テルヘルが言うには、この壁の向こう側に隠し通路があるはずよ。あの赤いくすんだ石畳がヒントらしいわ」

「赤くすんだ石畳か… 」ラーンは眉間に皺を寄せた。「そんなん、ただの汚れだろ?」

イシェはため息をつきながら、懐から小さな光源を取り出した。「そうかもしれないわね。でも、テルヘルは違うと確信しているのよ。彼女はヴォルダンに奪われた大切なものをこの遺跡で見つけ出すつもりなの。あの赤子のような瞳を見ている限り、嘘はついていないと思う」

ラーンの顔色が少し変化した。テルヘルの過去についてはあまり知らなかったが、彼女の激しい憎悪を目の当たりにしてきた。

「よし、わかった。信じてやるよ。イシェ、お前が言うなら、この壁を壊してみよう」

ラーンは力強く壁を叩き始めた。石粉が舞い上がり、空気が埃で白くなった。イシェは咳払いをして、地図を見つめた。地図には、赤く染まった石畳の先に、何かが記されていた。それはまるで、赤ん坊が抱きしめるように丸まっている形だった。

「あの記号は何だろう…」イシェは呟いた。