ラーンの大きな剣が、埃まみれの石壁を砕きながら奥へ進んだ。イシェは後ろから「待てよラーン！あの奇妙な紋様は…」と叫んだが、ラーンの耳には届かなかった。彼は興奮を抑えきれず、遺跡の奥へと突き進んでいく。
「この先にはきっと何かある」
そう呟きながら、ラーンは階段を駆け上がった。イシェはため息をつきながら、彼の後を追った。テルヘルは二人が進む様子をじっと見つめていた。彼女の目は鋭く、何かを計っているようだった。
階段を上り詰めると、広々とした部屋が現れた。天井から伸びる柱には、イシェが言った紋様と同じものが刻まれていた。中央には、祭壇のような石台があり、その上に光る球体が鎮座していた。
「大穴だ！」ラーンは叫び、球体を手に取った。
その時、部屋の奥から影が現れた。黒曜石のような鎧を身につけた男が、ゆっくりと歩み寄ってきた。彼の顔には、深い憎しみと執念が宿っていた。
「ヴォルダン Soldier…」テルヘルが呟いた。
男は剣を抜いてラーンに襲いかかった。ラーンの剣は男の攻撃を防ぐものの、その力は圧倒的だった。イシェは必死に魔法の矢を放つが、男の鎧には通用しなかった。
「逃げろ！ラーン！」イシェの声が響き渡る。
ラーンは一瞬ためらったが、イシェの言葉を聞いて後ろに下がった。その時、テルヘルが前に飛び出した。彼女は小さな瓶から赤い液体を出し、男の顔にかけるように投げつけた。男は苦しみながら倒れ込んだ。
「質入れだ…」テルヘルは冷たく言った。
男の鎧がゆっくりと溶け始め、その中からは、腐りかけた肉体が現れた。