ラーンの大斧が石の壁を粉砕した。埃が立ち上り、イシェは咳き込みながら鼻をつまんだ。
「またしても dud だ」
イシェの声は落胆していた。ラーンも肩を落とした。この遺跡は、ビレー近郊で最近発見されたもので、噂では古代の賢者の書物が入っているという話だった。だが、ここ数日の探索で、見つけたのは壊れた壺や錆びた剣など、価値のないものばかりだった。
「おい、イシェ、お前が言うように dud だとしたら、俺たちはもう帰ろうぜ」
ラーンの言葉に、イシェは少しだけ安堵した。だが、その時、テルヘルが鋭い声を上げた。
「待て。あの壁の模様… 」
テルヘルの指が、崩れかけた壁の模様をさす。それは複雑な幾何学的な図形で、まるで古代文字のようだった。イシェもラーンもその模様を見たことがなかった。
「これは…もしかして?」
テルヘルは目を輝かせ、慎重に壁をなぞりながら言った。
「賢者の言葉が刻まれている可能性がある」
ラーンの顔色が変わった。「賢者の言葉!?そんなものがあったのか!」
イシェも興奮を抑えきれずにいた。賢者は伝説の学者で、その知識は世界中の人々を救う力を持つと言われた。もし彼が遺した言葉が見つかったら…
「よし、俺たちがこの壁を崩すぞ!」
ラーンの言葉に、イシェとテルヘルも頷いた。三人は力を合わせて壁を壊し始めた。そして、ついに壁が崩れ落ちた時、そこには…