ビレーの酒場「荒くれ者の憩い」はいつもより騒がしかった。ラーンとイシェはいつもの角テーブルに腰掛け、テルヘルが持ち帰ってきた情報に耳を傾けていた。
「ヴォルダン貴族の調査隊だそうだ。遺跡発掘の許可を得て、エンノル連合側にも協力してほしいと申し入れているらしい」
イシェは眉間に皺を寄せた。「貴族か…あの傲慢な連中が、一体何を企んでいるんだ？」
ラーンは肩をすくめた。「知らねぇよ。でも、ヴォルダンとエンノル連合が手を組むなんて、何か大きなことがありそうな気がするよな」
テルヘルは冷酷に微笑んだ。「そうだな。そして、その動きを利用するチャンスも同時に訪れる。貴族の調査隊には、俺たちが欲しい情報があるはずだ」
ラーンの瞳が輝き始めた。「つまり、遺跡を一緒に掘らせて、情報を盗むってことか？」
「情報だけでなく、遺物もだ。貴族の調査隊は、エンノル連合に提出するよう命じられるだろう。その前に手に入れれば、我々には大きな利益になる」テルヘルはテーブルに拳を打ちつけた。「ヴォルダンとの戦いで失ったものを取り戻すために、このチャンスを逃さないぞ」
イシェは少し不安げな表情を見せたが、ラーンの熱意とテルヘルの確固たる意志に押され、頷いた。３人は互いに視線を交わし、危険なゲームに乗り出すことを決意した。
酒場の一室では、貴族の調査隊が優雅にワインを傾けていた。彼らはエンノル連合との協力を装いながら、影で独自の調査を進めていた。彼らの真の目的は、遺跡に眠る古代兵器を手に入れることだった。そして、その兵器を使ってヴォルダンへの復讐を果たすのだ…。