「おいイシェ、この石碑どうだ？何か書いてあるぞ」。ラーンが興奮気味に指差す石碑をイシェは眉間にしわを寄せながら眺めた。「ただの古い碑文じゃないか。大体こんなところに何があるって話よ、ラーン」
ラーンの期待に反して、イシェの言葉はいつも通り冷静だった。だが、テルヘルは少し目を細めた。「これは、興味深いぞ。この碑文には、かつてこの地に栄えた王国の遺跡について書かれているらしい。そして、その王が遺したとされる『大穴』の場所を示す地図があるという噂だ」
ラーンの目は輝きを取り戻し、「ほら！イシェ、やっぱり大穴があるんだろ？」と興奮気味に言った。「地図か…」。イシェはため息をついた。「地図を手に入れるには遺跡を探索しなければならない。危険な場所だぞ、ラーン」。だが、ラーンの熱意には逆らえず、結局イシェもテルヘルの提案を受け入れることになった。
3人は遺跡へと向かった。深い森を抜けていくと、崩れかけた石造りの建物が見えてきた。かつて栄華を極めた王国の一部のようだ。遺跡内部は暗く、埃っぽい空気が漂っていた。「ここが『大穴』の地図がある場所か…」。テルヘルは慎重に足取りを進めた。
ラーンはいつも通り先頭を走り、イシェは後をついていく。テルヘルは二人を見守りながら、自分の計画を練っていた。ヴォルダンへの復讐を果たすためには、この遺跡から何か大きな力を得る必要がある。そして、その力は『大穴』に眠っているのかもしれない。
遺跡の奥深くで、彼らは巨大な石室を見つけた。壁には複雑な模様が刻まれており、中央には祭壇のようなものがあった。テルヘルは祭壇に向かって歩み寄り、慎重に手を伸ばした。「これが…？」
その時、床から何かが噴出してきた。赤い光を放つ液体と、それに巻き込まれたラーン。イシェの悲痛な叫びが響き渡る。