「おいラーン、あの崩れた柱の奥じゃないか? 何か光ってるぞ!」イシェの指さす方向を見たラーンは、眉間に皺を寄せた。「またか…いつもお前はそんなもん見つけ出すよな。あれはただの石だな、イシェ。無駄な期待するなよ。」
「でも、あの形…」イシェは言葉を濁しながらも、足早に崩れた柱の方へと向かった。ラーンはため息をつきながら、イシェの後を追うことにした。テルヘルは二人を見つめ、薄暗い遺跡の奥深くで何かを考え込んだ様子だった。
「ねえ、テルヘルさん。あの光についてどう思いますか?」イシェが尋ねると、テルヘルは視線をゆっくりと上げ、鋭い眼光でラーンとイシェの顔を睨みつけた。「私は、この遺跡に眠るものは単なる石ではないと確信している。だが、それが何なのか、そしてなぜここに眠っているのか…それはまだ誰にも分からない。」
「まあ、そう言われても…」ラーンの言葉が途切れると、イシェは興奮気味に言った。「でも、もし本当に何か見つかったら、それは私たちにとって大きなチャンスになるんじゃないか? ラーン、あの大穴を掘り当てる夢…もしかしたら、それが現実になるかも!」
ラーンの表情は少しだけ緩んだ。しかし、テルヘルは冷静な口調で言った。「夢を追いかけるのも悪くない。だが、その前に現実を見つめ直す必要がある。」彼女の視線は再び遺跡の奥深くに注がれた。「この遺跡には、私たち以外にも目を光らせている者がいるかもしれない。そして、彼らが望むものは、単なる石ではないだろう。」
イシェとラーンは互いに顔を見合わせた。テルヘルが何を言おうとしているのか、まだ理解できていなかった。しかし、彼女の言葉から感じる不穏な空気に、二人は背筋を寒くするような予感を抱いた。