ビレーの酒場「荒くれ者の憩い」はいつも賑やかだった。ラーンが豪快に笑いながら酒を煽るたびに、イシェはため息をつき、テルヘルは鋭い視線で周囲を観察していた。今日は特に活気があった。なぜなら、数日前から噂されていた大規模遺跡の発掘情報が確定したからだ。
「おい、イシェ！あの遺跡は本当にとんでもないものらしいぞ！」ラーンが興奮気味に言った。「古代の王が眠るという話だ。そこに秘められた財宝は、俺たちの夢を叶えるには十分だろう！」
イシェは眉間にしわを寄せた。「そんな噂を鵜呑みにするなよ、ラーン。確認もされていない情報に基づいて興奮するなんて…」
「でも、イシェ！もし本当なら、あの遺跡の奥深くに眠る大穴に辿り着けるチャンスだぞ！俺たちの人生が変わるかもしれないんだ！」ラーンの瞳には、いつもの無邪気さとは違う熱い光が宿っていた。
テルヘルは静かに口を開いた。「噂は事実かもしれません。しかし、その遺跡はヴォルダン軍の監視下に置かれていると聞いています。簡単に手出しできる場所ではありません。」
「そんなこと構わない！俺たちは最強のチームだぞ！」ラーンは胸を張った。
イシェは諦めきれない様子で言った。「でも、ヴォルダン軍が関わるということは、危険度も高くなるということ。慎重に進めるべきだ。」
テルヘルは鋭い視線でラーンとイシェを見つめた。「私は、この遺跡から何かを得たい。そして、そのために必要なものは、力だけではない。あなたたちの力を借りて、ヴォルダンに復讐を果たすことができるでしょう。」
ラーンの顔には自信があふれていた。「よし！俺たちはこの遺跡を攻略して、大穴を見つけ出すぞ！」
イシェはため息をつきながらも、ラーンとテルヘルの決意に押されるように頷いた。三人は互いに異なる思惑を抱えながらも、運命の糸で結ばれたかのように、遺跡へと向かった。彼らの前に広がるのは、希望と危険が入り混じった未知の世界だった。