ラーンの大 swing が埃を巻き上げながら空を切った。巨大な石扉が轟音と共に崩れ落ちた瞬間、イシェは眉間に皺を寄せた。「また壊したか、ラーン。あの講釈を繰り返す前に、扉の構造を調べろって言っただろう」
「いや、でもさ、この扉、ずいぶん頑丈だっただろ? それに、こんな古い遺跡だぞ。講釈より先に宝探しが先でしょ!」ラーンは得意げに笑ったが、イシェには彼の目がどこか泳いでいるように見えた。
テルヘルは冷静に状況を把握していた。「扉の奥に進めば良い。この遺跡はヴォルダン軍が以前調査した記録がある。講釈を聞くより、その記録を頼りにする方が効率的だ」
ラーンの顔色が少し曇った。「あの記録? 信念が怪しい奴らのもんだろ?」
「信じるか信じないかは別として、彼らの知識には価値がある。特にこの遺跡については詳細な記述がある。講釈よりも、それを活用した方が現実的だ」テルヘルは冷酷に言った。
イシェはラーンの肩を軽く叩いた。「まあ、今回はテルヘルの言う通りにしよう。ほら、大穴が見つかるかもしれないぞ!」
ラーンは渋々頷き、扉の向こうへと進んだ。彼の目はまだ輝いていたが、以前のような自信には欠けていた。イシェは深くため息をついた。ラーンの講釈好きな一面は、彼の人柄を愛おしく思わせる一方、時に大きな落とし穴に陥る原因ともなっていた。
「いつか、あの講釈から何かを学ぶ日が来るといいんだけど…」イシェは呟きながら、テルヘルの後を追いかけた。