ラーンが剣を片手に遺跡の奥深くへ踏み込むと、イシェが小さくため息をついた。「本当にここが最後の部屋なんだろうか？」
「そうさ！大穴はこの先に待っているぞ！」ラーンの目は輝いていた。イシェはそんな彼を横目に、テルヘルに視線を向けると、彼女は冷静に地図を広げていた。「この遺跡の構造から判断すると、ここには何かがあるはずだ」と彼女は言った。「だが、その前に…」
テルヘルは壁にある奇妙な石版を指さした。「これは何かの記号だ。解読できれば、この遺跡の秘密がわかるかもしれない」イシェは懐から小さなレンズを取り出して石版を観察し始めた。ラーンは退屈そうに、近くの宝箱を開けようとしていた。「おい、待てよ！」イシェが叫んだが、ラーンの手は既に箱に触れていた。
その時、床が激しく震え始めた。壁から砂埃が舞い上がり、石版から不気味な光が発せ始めた。ラーンは慌てて後ずさった。「なんだこれは！」イシェは恐怖で声が震えた。テルヘルは冷静さを保ち、地図を指差しながら言った「ここには罠があったのだ。石版に触れると発動するようになっている」
その時、石版から光がより強く放たれ、空中に巨大なホログラムが現れた。それは、古代の王の姿だった。「汝ら、我らの民を滅ぼした者たちよ、我らの怒りを味わえ！」王は轟く声で叫んだ。ラーンの背筋に寒気が走った。
その時、テルヘルが手を挙げた。「落ち着け！このホログラムを消す方法があるはずだ」彼女は冷静に状況を分析し始めた。「この遺跡の構造、記号の意味…何か手がかりになるものがあるはずだ！」
イシェはテルヘルを信じようとした。ラーンの顔は青ざめていたが、彼は剣を握りしめ、王のホログラムに立ち向かう決意を示した。
「あの日、ヴォルダンに全てを奪われた時、私は誓った」テルヘルはつぶやいた。「この世界を滅ぼす者たちを、必ず倒すのだ…」彼女の瞳には、復讐心と、どこか遠くを見つめるような哀しい光が宿っていた。