「おい、ラーン、今回は何だ？またあの薄汚れた銅貨か？」イシェが不機嫌そうに小さな袋の中身を覗き込んだ。ラーンの背後からテルヘルが冷めた声で言った。「今回は少し様子が違うようだ。この遺跡は以前とは規模が異なる。そして、地元の人々の噂では…」彼女は言葉を濁し、視線をラーンに向けた。「彼らには言わないようにする。」
ラーンはイシェの顔色を気にしながらも、テルヘルの言葉に興奮を隠せない様子だった。「そうか！つまり、今回は大物が出るってわけだな！」 彼の目は輝き、剣を手に取る。イシェはため息をついた。「いつものことだ。大穴の話ばかりして…」彼女は道具を整理し始めた。「でも、今回は少し違う気がする。あの女性が真剣な顔で話していたから。」
遺跡の入り口に立つと、ラーンの興奮も少し鎮まったようだ。深い影が差し込む洞窟は、いつもより静かで重苦しい雰囲気を漂わせていた。テルヘルは先頭を歩き、地図を広げる。「ここにはかつて…」彼女は言葉を濁し、イシェに意味深な視線を向けた。「この遺跡の秘密は、我々にとって大きな価値になるだろう。」
ラーンの背筋がゾッとした。「何か隠しているな…」。イシェも同様の感覚を抱いていた。彼らは互いに頷き合い、テルヘルの後をついて遺跡の中へと進んでいった。洞窟の奥深くには、巨大な石碑がそびえ立っていた。石碑には、複雑な文字と模様が刻まれており、その中心には、まるで生き物のように光る結晶が埋め込まれていた。
「これが…？」ラーンが言葉を失った。イシェは石碑に手を触れ、ひっそりと呟いた。「請願…」テルヘルは静かに頷きながら、剣を抜き出した。彼女の瞳は燃えるような炎で輝いていた。「これで全てが終わる。」