ラーンの粗雑な剣さばきが埃を巻き上げ、イシェの眉間に皺が寄った。「本当にここなのか、ラーン? あの古い記録にはもっと奥深くって書いてあったはずなのに…」
「大丈夫だよ、イシェ。ほら、ここにも何かあるぞ!」
ラーンは興奮気味に石版を指差した。確かにそこに奇妙な模様が刻まれていた。イシェはため息をつきながら、テルヘルの方を見た。「あの記録は誰かの調べで間違っている可能性もあるのよ」
テルヘルの目は鋭く光った。「調べればわかるはずだ。この模様の意味がわかれば、次の手がかりが見つかるかもしれない」彼女は小刀を抜き、石版の模様を慎重にこすった。
「おい、テルヘル! あれは触っちゃダメって言ってたぞ!」ラーンの叫びが響き渡った時、石版から不気味な光が放たれた。イシェは反射的に目を背けた。
次の瞬間、床が崩れ、三人は深い穴に落ちていった。転げ落ちる間にイシェの耳に、テルヘルの低く唸る声が聞こえた。「やっぱり… 何か隠されていた…」