ビレーの賑やかな市場を背に、ラーンはイシェに肩を叩きながら言った。「おい、イシェ!今日はいい感じだな!テルヘルがまた高額な依頼を出してくれたんだぞ!」
イシェは眉間にしわを寄せながら、ラーンの腕を掴んで引っ張った。「待ちなさい、ラーン。今回はちょっと様子が違うんじゃないか?テルヘルの顔つき、いつもと違うと思わないか?」
「そんなことないよ。いつも通りだよ。Besides、いい仕事もらえるなら、どんな顔してても構わないだろう?」ラーンは気楽に笑った。
イシェはため息をついた。「いつもはもっと慎重に計画を立てて、遺跡の詳細も調べてから依頼を受けるのに…」
「今回は違うんだ!テルヘルが言うには、あの大遺跡だぞ?あの伝説の…」
「ラーン!」イシェは声を荒げた。「落ち着いて!あの遺跡は危険だぞ。噂では、そこに眠る遺物は強力な力を持つと言われている。それに、ヴォルダン軍もあの遺跡を狙っているんだって!」
ラーンの顔色が一瞬だけ曇ったが、すぐにいつもの笑顔を取り戻した。「大丈夫だよ、イシェ。俺たちがいるんだから!それに、テルヘルが言うには、今回はヴォルダン軍より先に遺物を手に入れる計画らしいんだ。」
イシェはラーンの言葉に疑問を抱きながらも、彼の熱意に押され、結局ついていくことにした。
遺跡の入り口に着いた時、ラーンは興奮を隠せない様子で、テルヘルに駆け寄った。「準備はいいか?よし!さあ、伝説の大穴へ!」
テルヘルはわずかに微笑んだ。「そうだな、ラーン。だが、今回は少しだけ計画を変えた。我々だけで遺跡に入るのではなく…」
テルヘルは振り返り、後ろから現れた人物を指さした。「彼らと共にだ。」
そこには、黒いマントを羽織ったヴォルダン軍の兵士たちが立っていた。イシェは驚愕し、ラーンの顔も青ざめた。
「何をしているんだ、テルヘル!?ヴォルダン軍と組むつもりか?!」ラーンが怒りに震える声で叫んだ。
テルヘルは冷静に答えた。「誤解しないで、ラーン。彼らは単なる協力者だ。今回は、ヴォルダン軍と手を組み、遺物を手に入れるのだ。」
「嘘だ!そんなはず…」イシェは言葉を失った。
テルヘルはラーンとイシェを見つめ、冷酷な笑みを浮かべた。「この遺跡には強力な力を持つ遺物がある。それを手に入れるためには、どんな手段も許されるのだ。」
ラーンの心には、深い絶望が広がった。彼はテルヘルの真意を理解した。彼女は彼らを使い捨てにするつもりだった。そして、イシェの悲痛な視線を感じながら、ラーンは絶望に打ちひしがれた。