「おい、イシェ、今日はいい感じの場所が見つかったぞ!」ラーンが興奮気味に叫びながら、古い地図を指さした。イシェは眉間にしわを寄せながら地図を覗き込んだ。「またか?ラーン、あの地図はただの噂話じゃないのか?」
「嘘だなんて言わない!ほら見てみろ、ここにあるぞ!」ラーンは力任せに地図を押し付け、赤い丸で囲まれた地点を指差した。イシェはため息をつきながら地図を受け取った。「わかったわかった。でも、今回は本当に慎重にやろうね。あの辺りはヴォルダンの兵士がうようよいるらしいし」
「大丈夫だ!俺たちが先に遺跡を見つけてしまえば、ヴォルダンなんか怖くない!」ラーンは胸を張った。イシェは彼の無鉄砲さに呆れながらも、どこか安心感をおぼえた。「そうだな…よし、準備を整えよう」
数日後、三人はビレーから離れた山奥へと足を踏み入れた。遺跡の存在を示すのは古い碑文と、荒廃した石造りの階段だけだった。ラーンは目を輝かせながら階段を駆け上がり、イシェは警戒しながら彼の後を追った。テルヘルは二人を見下ろすように立ち止まり、鋭い目で周囲を警戒していた。
「ここだ!ついに俺たちの夢が叶う!」ラーンの声が響き渡った。階段の奥には、巨大な石門が現れたのだ。イシェは息を呑んだ。「確かに…素晴らしい遺跡だ」
しかし、その瞬間、背後から冷酷な声が響いた。「なかなかいい場所を見つけたなぁ」 複数の影が三人に迫り、剣を抜き出した。ラーンの顔色が変わった。「ヴォルダンの兵士だ!」
テルヘルは冷静に状況を判断し、剣を抜いて戦いを挑んだ。イシェも冷静さを失わず、弓矢で敵を攻撃した。ラーンは怒りにまかせて敵陣に飛び込んだ。激しい戦いの音が山奥にこだました。
「なぜ…こんな場所に?」イシェが息を切らして叫ぶと、テルヘルは冷静な表情で答えた。「誘い出されたのよ…」
彼女は鋭い目でラーンの姿を見つめた。「ヴォルダンは私たちをここに追い込み、遺跡を手に入れようとしている」