「おいラーン、あの石柱、触るな!」イシェの声が響き渡った時、ラーンの指先は既に石柱に接触していた。冷たい石肌が指先に伝わる。
「ほら、また調子に乗ってるわね。この遺跡は危険だと言ったのは誰だっけ?」イシェは眉間に皺を寄せながら言った。だが、ラーンは気にも留めず、石柱に手を当てたまま笑みを浮かべた。「大丈夫だって!ほら見て、何も起こらないじゃないか。」
しかし、その瞬間、石柱から赤黒い光が放たれた。ラーンの体は光に包まれ、悲鳴を上げた。イシェは慌ててラーンに駆け寄ろうとしたが、光はあっという間に消え、ラーンの姿は消えていた。
「ラーーン!」イシェの声だけが、空虚な遺跡にこだました。残されたのは、石柱の上に刻まれた奇妙な記号だけだった。
テルヘルは冷静に状況を分析した。「何があったのか、まだわからない。だが、この記号が何かを示しているはずだ。ラーンを救うためには、この遺跡の謎を解くしかない。」彼女はイシェにそう告げると、遺跡の奥へと歩み始めた。
イシェは戸惑いながらもテルヘルの後を続いた。彼女の胸には、恐怖と同時に、ラーンへの強い訴えが渦巻いていた。彼を助け出すために、どんな危険も乗り越えてみせる。