「おい、イシェ、今日はいい感じだぞ!あの洞窟の奥へ入ってみるか?」ラーンが目を輝かせて言った。イシェはため息をつきながら地図を広げた。「また行き当たりばったりか。テルヘルに言っておくべきだ。この遺跡の調査範囲外だし、危険だぞ」
「大丈夫だ大丈夫!ほら、あの石碑の形見ろよ?何かを感じたんだ!」ラーンは興奮気味に石碑を指差した。イシェは眉間に皺を寄せながら石碑を観察した。確かに、他のものとは異なる独特の模様が刻まれている。「…わかった、でも無理はするなよ」
テルヘルは遺跡の外で待機していた。彼女はラーンの無鉄砲さに手を焼いているが、彼らにはある程度の信用をおいていた。それは、彼らが持つ「あの力」のためだ。
洞窟の中は薄暗く、不気味な静けさだった。イシェは慎重に足取りを確かめながら進む。ラーンは先頭を切って進んでいくが、時折振り返ってイシェの様子を確認する。
すると、洞窟の奥深くから、不規則な音が聞こえてきた。金属がぶつかり合う音、そして、かすかに人声のようなものだ。「何だあの音?」ラーンの顔色が変わった。「何かいるぞ!気をつけろ!」
彼らは武器を構えながら音の方へ進む。すると、目の前に広がる光景に言葉を失った。巨大な機械仕掛けの装置が、轟音を立てて稼働していた。その中心には、人間の形をした金属製の figura が存在し、光る目で彼らを見つめている。
「これは…!」イシェは言葉を詰まらせた。ラーンの顔も蒼白になっていた。テルヘルが言った言葉を思い出したのだ。「あの力」とは、この遺跡に眠る古代文明の技術、そしてそれを操る力を指していた。
その時、 figura はゆっくりと動き出した。その目は、まるで生きているかのように、ラーンとイシェをじっと見つめていた。
「逃げろ!」ラーンの叫び声が響き渡る中、figura から放たれた光が、彼らを包み込んだ。