ラーンの大ざっぱな swing で埃が舞い上がる。イシェは咳き込みながら、「もう少し丁寧に扱えばいいのに」と呟いた。ラーンは気にせず、遺跡の奥深くへと進んでいく。「ほら、イシェも見てみろよ!こんな素晴らしい場所だぞ!」
彼を待っていたのは、広々とした石室だった。壁には複雑な模様が刻まれ、中央には巨大な水晶が鎮座していた。その輝きは、まるで部屋全体を包み込むかのような美しさだった。
「わあ…」イシェは思わず声を漏らした。「こんなものが見られるなんて…」
「大穴だ!」ラーンは大喜びで水晶に手を伸ばそうとしたその時、テルヘルが制止した。「待て。触るな。」彼女の目は鋭く、水晶をじっと見つめていた。
「なぜ?」ラーンの顔色が曇った。「宝だと思ってんじゃん?」
テルヘルはゆっくりと頷きながら言った。「この水晶…計り知れない力を持つ可能性がある。しかし、使い方を誤れば、とんでもない災厄をもたらす危険性もある。」
イシェは不安げに水晶を見つめた。「どういうこと?詳しく教えて。」
テルヘルは深く息をつき、「この遺跡には、かつて高度な文明が存在した痕跡がある。そして、その文明が作り出したこの水晶は…」彼女は言葉を濁すように言った。「その計り知れない力を解き放つには、特別な方法が必要だ。」
ラーンの顔に失望の色が広がった。「つまり、宝じゃねぇってことか?」
テルヘルは冷静に言った。「宝かどうかは、まだ分からない。しかし、この水晶の真価を理解するには、慎重な調査が必要だ。」
イシェは水晶の輝きに魅せられながらも、テルヘルの言葉に深く考え込むように頷いた。ラーンの夢のような大穴とは少し違うかもしれない。だが、この遺跡が秘めた真実は、計り知れない価値を持つはずだと感じた。