「おいイシェ、あの石像、何か変じゃねえか？」ラーンが鼻を鳴らしながら言った。目の前には、崩れかけた遺跡の奥に立つ、奇妙な石像があった。
「何言ってんだ、ラーン。ただの石像だろう」イシェは眉間に皺を寄せながら答えた。「それに、この遺跡は既に探検済みだ。何もないだろう」
しかし、ラーンの好奇心は抑えられなかった。「でもさ、なんか…目が違うような気がするんだよな。まるで、僕を見てるみたいで…」
「そんなわけないだろ！」イシェは呆れ顔で言ったが、ラーンの言葉にどこか引っかかるものがあった。石像の目は確かに奇妙だった。まるで、生きているかのように光っていたのだ。
その時、石像の口から、かすかな声が聞こえた。「汝らは…選ばれし者か…」
ラーンとイシェは息を呑んだ。石像が動き出したのだ。ゆっくりと、しかし確実に、石像は二つの足の上に立とうとした。
「逃げろ！」
テルヘルが叫んだ。彼女の剣はすでに抜かれていた。石像に襲いかかる前に、ラーンとイシェは立ち尽くしていた。
「待て！」ラーンの声がかすれた。「何か…言いたいことがあるんじゃないのか？」
石像はゆっくりと口を開き、言った。「汝らは…真の力…を…知る…」
その言葉が終わり、石像は崩れ落ちた。残ったのは、砂埃と謎だけだった。
「何だったんだ…？ 」イシェは震える声で言った。
ラーンは目を輝かせながら言った。「きっと、大穴への鍵なんだよ！あの石像の言葉には、何か意味があるはずだ！」
テルヘルは冷静に状況を分析した。「何者かの罠かもしれない。油断するな」
三人は遺跡から出て、ビレーへと戻った。しかし、石像の言葉は彼らの心を離れることはなかった。真の力とは何か？大穴への鍵とは何か？彼らは、その謎を解き明かすために、再び遺跡へと向かうだろう。