「よし、今日はあの西の遺跡だな」ラーンが地図を広げると、イシェは眉間にしわを寄せて言った。「また?あの遺跡は危険だって言い伝えがあるだろ。罠だらけで…」
「大丈夫だ、イシェ。俺が先頭を切って開けばいいんだ!」ラーンは豪快に笑った。イシェはため息をつきながら、テルヘルの方を見た。
「テルヘルさん、どう思いますか?」
テルヘルは冷めた目で地図を睨んでいた。「言い伝えなど気にしない。遺跡には必ず何かがある。それが財宝なのか、情報なのか…それは探ってみなければ分からない」
ラーンの笑顔が歪んだ。「財宝だ!俺の直感が言ってるんだ!」
テルヘルは小さく微笑んだ。「そうか、あなたの直感ね…」
三人はビレーを出発した。山道を行くと、遺跡へと続く崩れかけた石畳が現れた。そこはかつて栄華を極めた王国があった場所だと伝えられている。言い伝えによると、その王は強力な魔法使いであり、遺跡には彼の秘宝が眠っているという。だが、同時に、王の怒りを鎮めるための呪いもかけられているという。
イシェは不安げに言った。「本当に大丈夫なのかしら…」
ラーンの背中は大きく揺れた。「大丈夫だ!俺たちは強いんだ!」
テルヘルは静かに言った。「強さだけでは何も得られない。知恵と戦略が必要だ」
遺跡内部は薄暗く、埃が舞っていた。壁には奇妙な文字が刻まれており、床には崩れかけた石像が転がっていた。ラーンは剣を構えながら先に進む。イシェは彼の後を控えめに歩き、テルヘルは常に周囲を警戒しながら進んだ。
奥深くまで進むにつれて、空気が重くなり、不気味な寒さを感じた。壁には血のような染みが残されており、まるで何かが犠牲になったかのように見えた。
「ここは…何か悪いものを感じないか?」イシェが震える声で言った。
ラーンは笑いながら言った。「そんなもん気にすんな!俺たちにはテ 助けてくれるんだ!」
テルヘルは沈黙したまま、壁に刻まれた文字をじっと見つめていた。彼女は何かを感じ取ったようだ。
その時、突然、床から黒い霧が湧き上がり、三人を包み込んだ。ラーンの剣は空を切り、イシェは悲鳴を上げた。
「何だこれは!」ラーンは恐怖の色を浮かべて叫んだ。
テルヘルは冷静に言った。「これは…言い伝えの呪いだな」