「よし、今日はあの崩れかけた塔だ」ラーンが、イシェの寝起きの顔を覗き込んだ。「また遺跡か…」イシェは眠そうに呟いた。ラーンの無計画さに慣れているとはいえ、毎日のように遺跡に dragged to go と言われるのは疲れる。
「今日の報酬はいいぞ?テルヘルが、あの魔導石の調査を依頼されたらしいんだ」ラーンは興奮気味に言った。「魔導石か…?」イシェは少し興味を示した。魔導石は遺跡から発掘される貴重な遺物の一つで、そのパワーは未知数だが、研究者にとっては非常に価値が高い。
ビレーを出ると、テルヘルが待ち構えていた。「今日は少し特殊だ」彼女は冷めた視線で二人を見下ろす。「あの塔には、ヴォルダンの言い付けで調査が必要な遺物があると聞いた」
イシェは眉をひそめた。「ヴォルダン?」ラーンも一瞬、言葉を失った。ヴォルダンといえば、エンノル連合と緊張状態にある大国だ。その名前を聞くだけで、不吉な予感がする。
「心配するな」テルヘルは、まるで彼らの考えを読んでいるかのように言った。「私は、安全な方法で遺物を手に入れるための計画を立てた。お前たちは指示に従い、自分の役割を果たせばいいだけだ」
ラーンの顔色が変わるのが見えた。「あの…テルヘル…」
「言うことを聞け」テルヘルは鋭く切り落とした。彼女の目は、まるで氷のように冷たかった。「ヴォルダンが何を企んでいるのか、私は知っている。そして、お前たちにはその一部を担ってもらう必要がある」