ラーンの大 swing で埃が舞い上がった。朽ち果てた石室の奥深く、わずかに光る金属片が見える。イシェは眉間に皺を寄せながら、ラーンの背後から「本当にここか?」と呟いた。「宝探しの前に罠があるんじゃないのか? ここは遺跡調査隊が避けて通る場所だぞ」
ラーンは軽やかに振り返り、「大丈夫、イシェ!俺の勘が言うんだ!」と豪快に笑った。その瞬間、床から毒気の矢が飛び出した。イシェは素早くラーンの腕を掴んで後ずさった。矢は壁に刺さり、腐食した金属のような臭いが部屋中に広がった。
「罠か…!」イシェは冷静に状況を判断し、ポケットから小さな瓶を取り出した。そこには透き通る液体が入っていた。彼女は瓶の蓋を開け、慎重に矢の根元に注いだ。「これは…?」ラーンが首を傾げると、イシェは「解毒薬だ。この遺跡に眠る危険な遺物には、強力な毒が付き纏っているらしいんだ」と説明した。
その時、背後から冷酷な声が響いた。「面白いですね、ヴォルダンの兵士も、あの遺跡の毒で命を落としたと言いますよ」テルヘルは両手に剣を構え、影から現れた。ラーンは慌てて剣を抜いた。「テルヘル!? 何しにここに?」
「私はこの遺跡の真実に迫りたいのです。そして、その鍵になるのは…」テルヘルは視線を矢に向け、「この毒です」と冷たく言った。イシェは緊張した面持ちでテルヘルを見つめ、「何をするつもりだ?」と問いかけた。テルヘルは微笑むように言った。「単なる調査です。あなたたちには関係ありません」
ラーンの視線がテルヘルから、イシェの解毒薬へと移った。「イシェ、この毒…解けるのか?」イシェは小さく頷いた。「でも…」と続けた。「この解毒薬は、その毒を完全に無効化できるものではない。一時的に症状を抑えるだけだ」ラーンの心は沈んだ。テルヘルの目的は、遺跡の真実に迫ること。そして、そのために必要なものは…この毒なのか?
イシェが深くため息をついた。「ラーン…」と語りかけた時、突然、壁から新たな矢が飛び出した…。