「おいラーン、今日は一体どこに行くんだ？」イシェの鋭い視線がラーンの背中に刺さる。彼はいつものように、大穴を掘り当てて一攫千金を狙う夢を口にしていた。
「今日はあの未開の遺跡だ！地図にも載ってない場所らしいぞ！きっと大発見がある！」ラーンの目は輝いていたが、イシェは眉間にしわを寄せた。
「またそんな話？地図に載ってないってことは、危険なだけだろう。それに、テルヘルがそんなリスクのある場所を選んだとは思えない。」
テルヘルの依頼で遺跡探索を行うようになってからというもの、イシェはラーンの無計画さに頭を抱えていた。しかし、彼の慎重さは時にラーンの行動を阻害することもあった。
「大丈夫だイシェ！今回は俺の直感に従うんだ！」ラーンはそう言って、森の中に足を踏み入れた。イシェはため息をつきながら、彼の後を続けた。
遺跡への道は険しく、獣の足跡が至る所に刻まれていた。それでもラーンは意気揚々として進んでいく。
「ほら、見ろイシェ！遺跡の入り口だ！」ラーンが興奮気味に叫ぶと、イシェも視線を向けた。崩れた石柱が重なり合うように立ち並び、その奥には漆黒の闇が広がっていた。
「確かに遺跡みたいだけど…何か不気味だな…」イシェは不安を覚えながらも、テルヘルからの指示に従い、ラーンと共に遺跡の中へと足を踏み入れた。
遺跡内部は薄暗く、湿った空気が漂っていた。壁には奇妙な文字が刻まれており、床には謎の模様が描かれていた。
「これって…何か解読できるのかな？」イシェが壁の文字を指さすと、ラーンは首を横に振った。「わからないよ。でも、きっと何かを示しているはずだ！」
二人は遺跡内部を進んでいくうちに、大きな石扉を発見した。扉には複雑な鍵穴があり、何か特定のアイテムが必要だったようだ。
「これは…解けるのか？」イシェは扉の鍵穴を凝視し、頭を抱えた。ラーンはイシェの後ろで、扉に刻まれた模様をじっと見つめていた。彼は何かを感じ取ったように、目を輝かせた。
「イシェ、俺が何か思いついたぞ！この模様…もしかしたら…」
ラーンの言葉は、イシェの不安を解きほぐすように響いた。二人は協力して、扉を解くための方法を探し始めた。 彼らの前に広がる遺跡の謎、そしてそこに眠る真実。それは、彼らの未来を大きく変えることになるだろう。