「おいラーン、今回は本当に大穴が見つかる気がするんだ!」イシェの興奮した声に、ラーンは苦笑いした。いつものように遺跡に潜る前、イシェはいつもこうやって期待を抱かせるが、結局大したものは見つからない。それでもラーンの心は揺るぎない。いつか必ず、あの夢を叶える日が来るはずだ。
「よし、行こうぜ!テルヘルさん、準備は?」ラーンが声をかけると、テルヘルは curt な頷きを見せた。彼女の鋭い視線は遺跡の入り口に注がれている。テルヘルはヴォルダンへの復讐のため、遺跡調査に協力している。その真意はラーンとイシェには分からない。
遺跡内部は湿気が多く、不気味な静けさだった。彼らは互いに気を配りながら慎重に進む。ラーンは剣を構え、周囲を警戒する。イシェは地図を広げ、ルートを確認しながら進路を指示する。テルヘルは常に後方で彼らを監視し、時折メモを取りながら何かを呟いている。
「ここだ!」イシェが突然叫んだ。壁に隠された小さな扉を発見したのだ。扉を開けると、そこには漆黒の石棺が置かれていた。棺の上には複雑な模様が刻まれており、不気味なオーラを放っている。
「これは…!」テルヘルは目を輝かせながら棺に近づき、ゆっくりと蓋を開け始めた。棺の中から現れたのは、骨でできた奇妙な仮面だった。仮面に触れると、テルヘルの表情が歪んだ。「これは…私の親族の遺物だ…」彼女は呟いた。
ラーンは戸惑いを感じた。テルヘルがヴォルダンへの復讐を誓っていることは知っていたが、その背景にはこんな過去があったのか。イシェも驚いて言葉を失った。
「この仮面は…」テルヘルは仮面を握りしめながら言った。「私の親族を滅ぼしたヴォルダンの罪を暴く鍵となる」彼女の目は燃えるような炎でいっぱいだった。