ビレーの薄暗い酒場に、ラーンとイシェは座っていた。テーブルの上には空になった酒樽が転げ、ラーンの顔には疲労の色が濃く浮かんでいた。
「また失敗か…」
イシェはため息をつきながら、ラーンの肩を叩いた。「今回は特に酷かったな。あの遺跡は一体何だったんだ? 罠ばっかりで…」
ラーンは苦い笑みを浮かべ、「そんなもん、遺跡探しの醍醐味だろ?」と強がるが、彼の目はどこか寂しそうに見えた。
その時、扉が開き、テルヘルが入ってきた。「準備はいいか?」彼女の冷たい視線が二人を刺すように感じた。
「え? 今日はもう…」ラーンの言葉は途絶えた。テルヘルの鋭い眼光は、彼らに何かを告げているようだった。
「情報が入った。ヴォルダン領内に、新たな遺跡が発見されたらしい。しかも、かつての王家の墓の可能性があるという」
イシェは息をのんだ。「王家の墓… そんなもの、本当に存在するの?」
テルヘルは頷き、「そして、その遺跡には、強力な力が眠っているという噂だ」と告げた。
ラーンの目には、今までにない光が灯った。「強力な力か… やっぱり大穴だったのか!」
イシェは不安を感じながらも、ラーンの興奮を止められなかった。
「よし! 行くぞ! 今回は絶対に成功させようぜ!」
ラーンが立ち上がり、剣を手に取った。テルヘルもまた、冷酷な表情で頷き、彼らを率いた。
彼らはヴォルダン領へ向かう道中、数々の困難に直面する。しかし、ラーンの無鉄砲さとイシェの冷静な判断、そしてテルヘルの策略によって、乗り越えていく。
ついに、王家の墓への入り口にたどり着く。そこは、古代の魔術が渦巻く、神秘的な空間だった。
「ここが…」イシェは息を呑んだ。
ラーンの瞳には、狂気のような光が宿っていた。「さあ、イシェ! テルヘル!俺たちの大穴を掘り当ててやる!」
三人は墓の中へと足を踏み入れた。そして、そこで彼らは、予期せぬ真実と、自分たちの運命を変える力を目覚めさせることになるのだった。