「おいラーン、あの石碑の彫刻をよく見てみろよ」イシェが指さす方向には、苔むした石碑が立っていた。ラーンは鼻でクンクンとしながら近づき、剣先で埃を払う。「なんだ、ただの古い文字だぞ」
「見習いの君にはわからないだろうが、これは古代のヴォルダン語だ。貴重な情報源になりうる」テルヘルが鋭い目で石碑を睨んでいた。「この遺跡はヴォルダンに関係している可能性が高い。慎重に進もう」
ラーンの背筋がゾッとした。「おいおい、ヴォルダンって大国だろ?そんな危険な遺跡に何しに来たんだ?」
「お前には関係ない。重要なのは、この遺跡から何かを得ることだ」テルヘルは剣を構え、「イシェ、準備はいいか?」
イシェは小さく頷き、細身の体で周囲を警戒していた。ラーンは不機嫌そうに剣を抜いた。見習いの彼らには、ヴォルダンという存在は想像を絶する脅威だった。
「よし、では入ろう」テルヘルの声が響き渡る。石碑の陰に隠れた通路へと、3人は進んでいった。