ラーンの大斧が石壁に深く食い込んだ。埃が舞う中、イシェは眉間に皺を寄せながら、崩れかけた天井を見上げた。「ここはもう限界かな。何か見つかる気配もないし。」
「いや、待てよ。」ラーンは斧を抜いて、壁を叩き始めた。「ここ…なんか硬いぞ。もしかしたら…」彼は興奮した様子で、壁の石を剥ぎ取っていった。イシェはため息をつきながら、テルヘルの方を見た。彼女はいつものように冷静に周囲を見渡していたが、鋭い視線はラーンの動きを追っていた。
「何かあったのか？」テルヘルの声が響いた。「見つけたぞ！何だこれは！」ラーンの声が喜びを帯びていた。石の奥から、金属製の小さな箱が出てきた。イシェは慎重に箱を持ち上げ、埃を払った。シンプルな作りだが、上面には複雑な模様が刻まれていた。
「これは…？」イシェは箱を見つめた。その瞬間、箱の上部の模様がわずかに光り始めた。ラーンとテルヘルも同時に箱を見つめていた。そして三人は、互いに顔を見合わせた。箱から何かが放たれているような気がしたのだ。それは言葉で表せない何かだった。まるで…視線のようなものを感じたかのようだった。