薄暗い遺跡の奥深く、ラーンが石壁を叩きながら苦笑いした。「また空っぽかよ。イシェ、お前はどうだ?何か見つけた?」
イシェは慎重に周囲を見回した後、小さく首を振った。「何もない。この遺跡は本当に罠ばかりだな。テルヘルさん、あの情報って本当なのか?」
テルヘルは背中に光を当てながら、古びた地図を広げた。「ここには確かに、『影の宝庫』と呼ばれる場所があるはずだ。隠された通路や仕掛けが複雑で、多くの探検家が命を落としたという記録もある。だが、その先に眠る富は計り知れないものだと伝えられている」
ラーンの顔が輝き始めた。「そうか!やっぱり大穴だったのか!」
イシェは眉間にしわを寄せた。「でも、あの地図…何か変だと思わないか?まるで一部が意図的に消されているような…」
その時、壁の奥深くから不気味な音が聞こえてきた。ラーンが剣を抜こうとした時、イシェは彼の手を掴んだ。「待て!あれは…」
影が壁からゆっくりと現れ始めた。それはまるで、石に彫られた影が動き出したようだった。その姿は曖昧で捉えどころがなく、まるで見え隠れするように揺らめいている。
ラーンは剣を構えたまま、声も出ずにじっと見つめていた。イシェは息を呑んで、影の動きを静かに追った。テルヘルは冷静に地図を広げながら、何かを呟いていた。「これは…まさか…」