「おいイシェ、この石碑には何書いてあるんだ？」ラーンが指差すのは、苔むした石碑。イシェは眉間に皺を寄せながら、石碑の文字をなぞった。「古代語だ。ほとんど読めないけど…『禁断の領域』って書いてあるみたいだ」
「禁断？そんなことより、宝のありかを教えてくれよ！」ラーンの目は輝いていたが、イシェは不安を感じていた。テルヘルから依頼を受けた遺跡は、いつもより異様な雰囲気をまとっていた。深い霧が立ち込める中、不気味な鳥の鳴き声がこだまし、足元には奇妙な植物が生えていた。
「何か変だぞ…」イシェは呟いた。「この遺跡には何か…邪悪なものを感じたんだ」ラーンは苦笑する。「また臆病者ぶりを発揮しているのか？大丈夫だ、俺が守ってやるよ！」そう言って、彼は剣を抜いて aheadに進む。
テルヘルは冷静に状況を分析していた。「遺跡の構造は複雑で、罠が多いようだ。慎重に進まなければ…」彼女はラーンの背中に声をかけた。「ラーン、待て！ここは急いで進む場所ではないぞ！」だが、ラーンの耳には届かなかった。彼はすでに霧の中に姿を消していた。
イシェはため息をつき、テルヘルに言った。「彼のことだから、きっと何かやらかすよ」テルヘルは頷いた。「そうだろう。しかし、今回は特に注意が必要だ。この遺跡は…私たちを破滅させる力を持つものを感じさせる」
二人はゆっくりとラーンの後を追った。霧の中、彼らは不気味な影を見つけ、背筋が寒くなるような気配を感じた。そしてついに、彼らはラーンを発見した。彼は巨大な石扉の前に立っており、興奮気味に扉を開けようとしていた。
「待て！ラーン！」イシェの声が響き渡った。しかし、ラーンの耳には届かない。彼は扉を押し開けようとしたその時、石扉から黒い煙が噴き出した。煙は急速に広がり、三人の視界を遮り始めた。
「何だこれは…！」ラーンは恐怖で声をつまらせた。イシェはテルヘルに言った。「何かが起こっている！早く逃げなければ！」しかし、テルヘルは動かなかった。彼女は黒煙の中に目を向け、何かを感じ取っているようだった。
「これは…」テルヘルは呟いた。「これは…覇道への道を開く鍵だ」
彼女の手には、小さく光る宝石が握られていた。それは、古代文明が残したという伝説の宝石、そして、この遺跡の真の目的を象徴するものであった。