「よし、今回はあの崩れかけた塔だ！」ラーンが拳を握りしめた。イシェは眉間に皺を寄せ、「また遺跡？ラーン、あの塔は危険だって聞いたぞ。何よりも、最近見つけた遺物はどれも小銭以下のものばかりじゃないか」と冷静に反論した。
「でもイシェ、いつか大穴が見つかるって信じてないのか？」ラーンの瞳は輝いていた。「あいつの言うように、ヴォルダンが欲しがってる遺物なら高値で売れるぞ！」
イシェはため息をついた。ラーンの楽観的な態度にはいつも呆れていたが、彼の熱意に巻き込まれてしまうのが常だった。
「わかった、わかった。今回は塔に挑戦だ」とイシェは言った。「でも、何か変だと思うんだ。ヴォルダンが遺物を欲しがっているということは、あの塔には何か特別な力があるはずだ。気をつけろよ、ラーン。」
テルヘルは鋭い視線で二人を見つめていた。「いいでしょう、探索の準備を済ませてください。私は情報収集に努めます」と彼女は言った。彼女の言葉には冷酷な決意が宿っていた。ヴォルダンへの復讐を果たすためなら、どんな危険も厭わない。
廃墟となった塔は、かつて栄華を極めた文明の名残を感じさせる威厳を漂わせていた。ラーンは剣を構え、イシェは慎重に足取りを確かめながら、塔の奥へと進んでいった。
崩れかけた石畳の上を進み、薄暗い通路を抜けると、巨大な扉が現れた。扉には複雑な模様が刻まれており、不気味な光を放っていた。
「これは…」イシェは声を失った。扉からは、圧倒的な力を感じ取ることができた。
ラーンは興奮を抑えきれずに、「開けろ！」と叫び、剣を振り下ろした。しかし、扉は budge しなかった。
その時、テルヘルが駆け寄ってきた。「待て！あの扉には強力な魔力がかかっている。無理に開ければ危険だ」と彼女は警告した。
「だが…」ラーンの言葉は途絶えた。彼の視線は、扉の奥に広がる闇に釘付けになっていた。
その時、塔の奥から不気味な音が響き渡り、地面が激しく揺れた。
「何かが近づいている！」イシェの声が震えた。
ラーンは剣を握りしめ、テルヘルとイシェを見つめた。「逃げるわけにはいかない」彼の瞳に、決意の色が宿った。
塔の奥から、影がゆっくりと現れた。それは巨大な怪物であり、その体からは邪悪な力が放たれていた。
「ヴォルダン…」テルヘルの声が震えた。「あの男は一体何を企んでいるんだ…」
ラーンは剣を高く掲げ、「我々は決して屈しない！」と叫んだ。
三人は力を合わせて、邪悪な影に立ち向かった。彼らの戦いは、この世界の覇権を争う壮絶な戦いの始まりだった。