ビレーの喧騒を背に、ラーンが大きな息を吐いた。遺跡の入り口は、いつもよりひんやりと湿っていた。「今日は何かある予感がするぜ」ラーンはそう言いながら、剣を構えた。イシェは眉間に皺を寄せた。「またそんなこと言うな。危険な目に遭うのはいつもお前だ」だが、それでも彼女は小さな革袋から薬草を取り出し、ラーンの肩にそっと置いた。
「今回は違う気がするんだ。ほら、テルヘルさんもそう言ってるだろ?」ラーンが振り返ると、テルヘルは鋭い目を遺跡の奥深くに注いでいた。彼女は薄暗い顔色で呟いた。「この遺跡はヴォルダンとの戦いで使われたという記録がある。何か残されているはずだ」
三人は互いに頷き合った。それぞれの思惑があった。ラーンは莫大な財宝、イシェは堅実な生活、テルヘルは復讐の道具。だが、遺跡の奥深くには誰も知らない真実が眠っていた。
石畳の階段を下りるにつれ、空気が重くなっていった。壁には奇妙な文様が刻まれており、ラーンの背筋にぞっとする感覚が走った。「ここは一体何だ…」イシェの声は震えていた。テルヘルは静かに首を横に振った。
突然、床から黒い煙が噴き上がり、三人は coughing cough started. 煙が晴れると、そこには巨大な石像が立っていた。その目は赤く光り、邪悪な笑みを浮かべていた。「何だこれは…」ラーンの声は震えた。石像はゆっくりと動き出した。
「逃げるんだ!」テルヘルが叫んだ。三人は必死に石像をかわし、遺跡の奥へと駆け込んだ。狭い通路を抜けると、そこは広大な地下空間だった。中央には巨大な祭壇があり、その上には金色の箱が置かれていた。
ラーンは目を輝かせた。「宝だ!」彼は箱に駆け寄ろうとしたその時、石像が彼を捉えた。ラーンの剣は石像の腕を切り落とすも、石像は動きを止めなかった。イシェが石像の足を攻撃し、その隙にラーンは箱を開けた。
箱の中には、一枚の古い地図と、小さな金のメダルがあった。地図には複雑な記号が記されており、金色のメダルには「襲名」という文字が刻まれていた。「これは…?」イシェは目を丸くした。テルヘルは地図を奪い取り、目を輝かせた。「これでヴォルダンに勝てる!」
ラーンの顔色が変わった。「おい、待てよ…」だが、テルヘルはもう戻らない。彼女は地図を握りしめ、石像の攻撃をかわしながら、遺跡から姿を消した。残されたラーンとイシェは、遺跡の出口へと向かった。
「あの…メダルは何だったんだ?」イシェが尋ねた。ラーンは肩をすくめた。「知らねえよ。でも、テルヘルが何か企んでいるのは確かだ」二人は互いに顔を見合わせた。彼らの前に広がる未来は、まだ不確かなままであった。