「よし、今回はあの崩れかけた塔だ。噂では奥に秘宝が眠っているらしい」ラーンが目を輝かせ、イシェの肩を叩いた。イシェはため息をつきながら、「また噂話か。そんな甘い話があるわけないでしょう」と呟く。だが、ラーンの熱意に押され、結局二人はテルヘルと共に崩れかけた塔へと足を踏み入れた。
塔の中は薄暗く、埃っぽい空気が漂っていた。足元の石畳は崩れており、一歩一歩が慎重を要する。ラーンは興奮気味に進んでいくが、イシェは細心の注意を払いながら後を追う。テルヘルは二人よりも後ろからゆっくりと、鋭い目で周囲を観察していた。
塔の奥深くで、彼らは大きな石の間にある扉を発見した。扉には複雑な模様が刻まれており、古代の呪文のようなものが書かれている。ラーンが力ずくで扉を開けようとするが、イシェが制止する。「待て！あの模様は危険な罠かもしれないぞ」
テルヘルが近づき、ゆっくりと扉に描かれた模様を指さした。「この模様はヴォルダン王国の古代文字だ。解読できれば、扉を開ける方法が分かるかもしれない」彼女はそう言うと、小さな革の袋から何かを取り出した。中には、細かな文字が刻まれた石板が入っていた。
「これは？」イシェが尋ねると、テルヘルは少しだけ口元を歪ませて答えた。「私の裏金だ。ヴォルダン王国の歴史書に記された古代文字を解読するための道具だ」彼女は石板を使って扉の模様を一つずつ解読していく。
扉がゆっくりと開いた時、そこには輝かしい黄金の宝箱が置かれていた。ラーンの目を見開き、興奮を抑えきれず叫んだ。「やった！大穴だ！」イシェも驚きを隠せない。しかし、テルヘルは冷静に宝箱の前に立ち、「この宝箱には罠が仕掛けられている可能性がある。慎重に開けなければ」と警告した。
ラーンとイシェが宝箱を開けようとすると、テルヘルが手を止めさせた。「待て。この宝箱を開ける前に、私は別のことをしたい」彼女はポケットから小さな袋を取り出し、中に入っていた石を宝箱の前に置いた。その石には、古代文字が刻まれていた。
「これは？」ラーンが尋ねると、テルヘルは冷たい目で答えた。「ヴォルダン王国の紋章だ。この石を置いておけば、宝箱を開けた時にヴォルダンの兵士たちがすぐに駆けつけるだろう」彼女はそう言うと、ラーンとイシェに微笑みを向ける。「さようなら。楽しい旅を」
ラーンとイシェは呆然と立ち尽くす。テルヘルは彼らを置き去りにして、塔から姿を消した。二人は宝箱の前で、彼女の言葉の意味を理解しようと but struggled to comprehend the meaning behind her words.