ラーンの大 hineinが、埃っぽい遺跡の奥深くへと突き刺さった。石の粉塵が舞い上がり、イシェの鼻をくすぐった。「また無駄な動きか…」と呟きながら、彼女は慎重に足場を選び、ラーンの後を追った。
「おい、イシェ！見てみろ、これぞ大穴への入り口だ！」ラーンは興奮気味に叫んだ。彼の目は輝き、石畳の床にあるひび割れを指差していた。確かに、そこからは暗く深い空間へと続いていた。
しかしイシェは眉間にしわを寄せた。「あの裂け目から何が出るかわからない。危険すぎる。」
「大丈夫だ！俺が先導する！」ラーンの言葉に反論できるわけもなく、イシェはため息をつきながら彼の後についていった。
すると、背後から冷たく澄んだ声が響いた。「待て。」テルヘルが立ちはだかり、鋭い視線で二人を見据えた。「あの裂け目は危険だ。私が先導する。」
ラーンは不満げに眉をひそめたが、テルヘルの言葉には従うしかなかった。彼女の知識と経験は彼らにとって必要不可欠だった。テルヘルが手元のランプを高く掲げると、暗い裂け目の奥底がわずかに照らし出された。そこには、まるで古代の儀式で使われたかのような奇妙な模様が刻まれた石壁が広がっていた。
「ここはかつてヴォルダン軍が利用していた地下迷宮だ。」テルヘルは低い声で呟いた。「強力な魔物が封印されている可能性もある。慎重に進もう。」
三人は緊張した面持ちで裂け目へと足を踏み入れた。石畳の上を歩くと、不気味な音が響き渡り、彼らの背筋に冷たい恐怖を走らせた。イシェはラーンの握りしめた手に触れ、彼の興奮を抑えるように静かに手を重ねた。
深く暗い迷宮の奥へ進むにつれて、彼らは壁面に描かれた奇妙な模様から目を離せなくなった。それはまるで、裂帛のように薄く、繊細に描かれていたが、同時に力強く生命感にあふれていた。その模様は、彼らに何かを語りかけているようだった。
そしてやがて、彼らは迷宮の奥深くで、巨大な石造りの扉の前に辿り着いた。扉には、あの奇妙な模様と同じものが刻まれており、その中心には、まるで生きているかのように脈打つ赤い光が宿っていた。