ラーンの大剣が石壁を叩き割り、埃が舞い上がった。
「ここだ!」
イシェは眉間にしわを寄せながら、ラーンの後ろから懐中電灯の光を当てた。「また行き当たりばったりか? この遺跡の構造を調べろと言っただろう」
「そんな細かいこと言ってても宝は見つからないよ! 行くぞ、テルヘル!」
テルヘルは静かに頷き、剣を構えたままラーンの後を続いた。イシェはため息をつきながら、二人の後ろを歩くことにした。
遺跡の奥深くへ進むにつれて、空気が重くなっていった。壁には不気味な模様が刻まれており、かすかな冷気を感じた。
「何か感じる…」
テルヘルは突然立ち止まった。ラーンとイシェも緊張して剣を構えた。
「何かいるのか?」ラーンの声は震えていた。
「違う…」テルヘルは目を細めた。「何かが近づいている… ヴォルダンの影だ」
その時、壁から突如として黒い影が現れた。それは巨大な魔物だった。鋭い牙と爪を持ち、赤い目が邪悪に光っていた。
ラーンは剣を振り上げたが、その魔物は軽くかわし、ラーンを吹き飛ばした。イシェは驚愕のあまり声を失った。
「この遺跡はヴォルダンが仕組んだ罠だ!」テルヘルは叫んだ。「逃げろ!」
しかし、すでに遅かった。魔物はイシェに襲いかかった。ラーンは立ち上がり、魔物に剣を突き立てた。だが、その剣は魔物の皮膚を貫通できなかった。
「何だこれは…」
ラーンの顔には絶望の色が浮かんでいた。その時、テルヘルが魔物に飛びかかり、背後から daggersを突き刺した。魔物は悲鳴を上げ、ゆっくりと倒れ込んだ。
イシェは震えながら立ち上がり、テルヘルの方を見た。
「お前… なぜ?」
テルヘルは冷たい目でイシェを見つめた。「私はヴォルダンに復讐する。そして、そのために必要なものは何でも手に入れる」
ラーンとイシェの視線が交錯した。彼らの夢と現実が、この遺跡の奥深くに埋もれていくように感じた。