ラーンがいつものように大口を開けて笑った。「よし、イシェ!今日は必ず何か掘り出すぞ!」
イシェは眉間にしわを寄せながら、地図を広げた。「遺跡の規模から見て、今回は慎重に進まないと危険だ。ラーン、落ち着いて」
「大丈夫だ、イシェ。俺が先頭を切って開拓するから、お前は後ろでサポートしろ。」ラーンは、剣を手に取り、遺跡へと向かった。彼の足取りは軽いが、どこか不穏な空気が漂っていた。
テルヘルは二つの影を見つめていた。「彼らにはまだ気づいていないようだ」と呟いた。彼女は自分の目的のために、この二人の存在を利用するつもりだ。
遺跡内部は暗く湿っており、朽ちた石像が不気味に光る。ラーンの剣が石を削り、イシェは慎重に足元を確認しながら進む。テルヘルは後ろから二人を見守りながら、何かを企んでいるかのように唇を動かした。
突然、床が崩れ、ラーンは深い穴に落ちてしまった。「ラーーン!」イシェの叫び声がこだました。彼女は慌てて穴の縁に駆け寄り、下をのぞき込んだ。
「大丈夫か、ラーン!」
「うっ…」ラーンの声はかすれていた。「足が…動かない」
イシェはパニックになった。「テルヘル、何とかして!」
テルヘルは冷静さを保ちながら言った。「落ち着け、イシェ。私は今、状況を分析している。安全な方法でラーンを引き上げる必要がある」
しかし、彼女の目は冷たい光を放っていた。これは単なる事故ではない。彼女は自分の計画を進めるために、この機会を利用するつもりだ。