ラーンの大きな手で扉が押し開けられた。埃っぽい空気が充満する遺跡の内部に、イシェは咳き込んだ。「ここは...」と呟きながら、薄暗い奥へと続く通路を見つめた。ラーンは、いつものように興奮気味に「よし!大穴だ!」と叫んだが、イシェは眉間に皺を寄せた。
「ここには何もないよ。また騙されたんじゃないの?」テルヘルは冷めた声で言った。彼女は壁に沿って慎重に足を進め、周囲を警戒していた。ラーンの計画性のない行動にはいつも呆れていたが、今回は特に不吉な予感がした。
「いや、待てよ!」ラーンは、通路の奥にある小さな部屋の入り口に気づいた。「ここだ!何かあるぞ!」彼は興奮気味に駆け込んだ。イシェもテルヘルも仕方なく後を追った。
部屋の中央には、石でできた祭壇が置かれていた。その上に、光る宝石が埋め込まれた杖が飾られていた。ラーンは目を輝かせ、「これだ!大穴だ!」と叫んだ。イシェは杖をじっと見つめた。「何か変だ...」と呟いた。
その時、部屋の壁から、黒い影がゆっくりと現れた。テルヘルは剣を抜いて構えた。「敵だ!」ラーンも慌てて剣を抜こうとしたが、影は既に彼に襲いかかっていた。イシェは思わず声をあげた。