「よし、今回はあの洞窟だな！」ラーンが地図を広げ、興奮気味に言った。イシェは眉間にしわを寄せながら、地図をじっと見つめた。「また危険な場所かい？ ラーン、少しは慎重にならなきゃ。あの洞窟の噂は…」
「大丈夫だ、イシェ。俺が行くから安心しろ！」ラーンは自信満々に笑った。その笑顔にイシェはため息をついた。ラーンの無謀さは、彼を慕う者たちをいつも心配させた。だが、彼の仲間意識と純粋な心には、イシェも心を動かされた。
「よし、わかった。今回は俺たちが準備する」イシェは言った。「テルヘルさんには事前に報告しておこう」
テルヘルは、彼らの拠点となった古い廃墟の一室で地図を広げ、何かを考え込んでいた。彼女はヴォルダンに奪われたものを取り戻すため、あらゆる手段を尽くしていた。遺跡探索は、そのための資金調達と情報収集の手段の一つだった。
「血脈」
テルヘルは呟いた。古代の文献に記された言葉だ。それは、ヴォルダンの支配者一族が持つ特別な力であり、彼女が復讐を果たす鍵となる可能性があった。
「あの洞窟には、何かあるかもしれない…」テルヘルは地図を指さした。「ラーンとイシェには危険な場所だが、彼らならきっと何かを見つけ出すだろう」
ラーンとイシェは、廃墟の入り口でテルヘルに報告し、準備を整えていた。「今回は特に気を付けてくれ」テルヘルは真剣な表情で言った。「あの洞窟には、危険な罠が仕掛けられているという噂がある。特に、血脈を持つ者にとって…」
「大丈夫だ、テルヘルさん。俺たちがしっかり守るから」ラーンは力強く言った。イシェも頷いた。彼らはテルヘルの期待に応えるため、そして自分の夢を叶えるために、遺跡へと向かう決意をした。