「おい、イシェ、今日は何の遺物が出そうか?」ラーンが興奮気味にイシェに話しかけながら遺跡の入り口に足を踏み入れた。イシェはいつものように眉間にしわを寄せ、ラーンの背後から彼の荷物を軽く蹴飛ばした。「また大穴の話か? そんな宝探すなら、まずは食料を確保すべきじゃないのか?」
「そうだな…でも、いつかきっとあの伝説の財宝が見つかるんだ! 我が家の血統に秘められた力を使えば、きっと!」ラーンは目を輝かせながら、胸を張った。イシェはため息をつきながらも、ラーンの熱意には心を動かされるものがあった。
遺跡内部は薄暗く、湿った石の匂いが漂っていた。ラーンの持つランプの光が壁に影を落とすにつれ、不気味な雰囲気が広がっていった。テルヘルは常に冷静沈着な表情で周囲を観察し、わずかな音にも耳を傾けていた。「何かいるぞ…」彼女は呟き、剣を構えた。
突然、床から鋭い音が響き渡り、ラーンがよろめいた。イシェは素早くラーンを支え、「気をつけろ!」と叫んだ。その瞬間、巨大な影が彼らの前に姿を現した。それは、漆黒の甲冑に身を包んだ骸骨のような姿で、空中に浮かび上がる赤い目をしていた。
「これは…!」テルヘルは驚愕し、口から言葉を失った。ラーンの血相を変えた顔を見て、イシェは恐怖を感じながらも、自分の剣を握り締め、戦いの準備をした。
「あの生き物は…」テルヘルの声が震えていた。「伝説の守護者…血統に選ばれた者しか倒せないと伝えられている」
ラーンは恐怖で体が震える中、かすかに胸の中で何かが反応するような感覚を覚えた。そして、彼は自分の祖先から受け継いだ力を感じ始めた…。