ラーンの大斧が岩盤を打ち砕き、埃が舞った。汗と煤で真っ黒になった顔に、彼は苦笑いした。「また dud だな」。イシェはため息をついた。「あの地図は偽物だったんじゃないのか？テルヘルさん、本当にここが遺跡の入り口だと確信してるんですか？」
テルヘルは冷静に言った。「焦るな。地図は正しいはずだ。この地には何かある。それが何であるかは…」彼女は視線を鋭く遺跡の奥深くにやった。「今はまだわからない」。
彼らは日暮れまで探索を続けたが、収穫はなかった。イシェは疲れた体を支えながら、ラーンに言った。「もう帰るべきじゃないか？明日も仕事があるんだぞ」。ラーンの顔には疲れの色が見えた。しかし、彼は意地になったように言った。「まだ諦めるわけにはいかない。俺はまだ、何かを掘り当てられる気がするんだ！」
その時だった。イシェが足元に何か光る物を見つけた。「あれは…！」彼女は興奮した声で叫んだ。「これは…古代の宝箱だ！」
錆びついた金色の宝箱は、埃まみれの石畳に置かれていた。ラーンの顔色が変わった。「やった！ついに大穴が見つかったぞ！」彼は興奮を抑えきれず、宝箱に飛びついた。
しかし、イシェは何かを察知したようにラーンの腕をつかんだ。「待て！何か変だ…」彼女は宝箱の表面を慎重に観察する。その瞬間、宝箱から赤い光が炸裂し、ラーンを吹き飛ばした。
「ラーーン！」イシェは叫びながら駆け寄った。彼は意識を失っており、額からは血が流れていた。テルヘルは冷静に状況を判断し、イシェに言った。「彼を安全な場所に避難させろ。私はこの宝箱を調べよう」。
イシェはラーンの重体を背負い、慌てて遺跡から逃げ出した。後方では、テルヘルが宝箱に向かって手を伸ばしていた。彼女の瞳には、血潮と混ざり合うような狂気的な光が宿っていた。