「おい、ラーン、今回はあの洞窟の奥まで行こうぜ！」
イシェが眉間に皺を寄せながら言った。ラーンの無計画さに呆れている様子だった。
「そうだな！あの噂の『赤き宝石』を手に入れるんだ！」
ラーンは興奮気味に剣を構えた。いつも通り、大穴を夢見ている。イシェはため息をついた。
テルヘルは冷静に地図を広げながら言った。「その洞窟には危険な罠が仕掛けられていると記録されている。準備は万端か？」
ラーンはニヤリと笑った。「大丈夫だ、俺たちに敵はない！」
三人はビレーから離れた山奥へと向かった。遺跡の入り口付近では、かつて誰かが戦った痕跡が残っていた。崩れかけた石柱に、鮮やかな赤色の染みが残っている。まるで血のような色だった。
洞窟の中は薄暗く、湿った空気で満たされている。ラーンが先頭を切って進んでいくと、イシェは彼の後ろを少し遅れてついていった。テルヘルは後方から警戒を怠らなかった。
奥深く進むにつれ、洞窟の壁には奇妙な模様が描かれていた。まるで警告のように見える。イシェは不安を感じていたが、ラーンは気にする様子もなく、さらに奥へと進もうとした。
その時、床に仕掛けられた罠が発動した。鋭い棘が飛び出す音とともに、ラーンの足元が襲われた。彼は素早く身をかわしたが、衣服を裂かれ、わずかな傷を受けた。
「くっ、油断していた！」
ラーンは怒りを露わにした。イシェは慌てて彼を支えた。「大丈夫か？怪我はないのか？」
「ああ、大したことない」ラーンは歯を食いしばりながら言った。「あの罠は厄介だ。気をつけろよ、二人とも」
テルヘルは冷静に状況を分析した。「この洞窟には、強力な魔力を感じ取れる。慎重に進まなければ、命を落とすかもしれない」
三人はさらに慎重に進むことを決めた。しかし、洞窟の奥にはさらなる試練が待ち受けていた。
ついに彼らは、洞窟の最深部にたどり着いた。そこには、巨大な祭壇があり、その上に赤き宝石が輝いていた。
「やった！ついに見つけたぞ！」
ラーンの顔は喜びに満ち溢れていた。しかし、イシェは何か違和感を感じていた。祭壇には、血のような染みが残っているように見えた。そして、空気を冷たくするような悪寒を感じた。
その時、祭壇から黒い煙が立ち上がり、不気味な声が響き渡った。「汝らは、この地に眠る者たちの怒りを招くもの…」
ラーンの瞳は恐怖で広がった。イシェは剣を抜き、テルヘルも警戒 stance を取った。三人は、予期せぬ敵との戦いを強いられることになった。洞窟の奥底には、血に染まった秘密が隠されていたのだ。